庄内川護岸工事
    プロジェクト

2011年〜2012年にかけて、
およそ10ヵ月間に及んだ
「庄内川護岸工事プロジェクト」。
国土交通省からの依頼を山正建設が
単独で受注した工事であり、
受注額が歴代最大級となった
ビッグプロジェクトだ。
このプロジェクトの現場のトップとして
全体を統括した鈴木と、
若手社員ながらも参加した津嘉山が
当時を振り返り、現場での出来事や、
山正建設の今後について語り合った。

鈴木 雅志
2004年入社(中途)
工事部/部長心得
津嘉山 太輔
2009年入社(新卒)
工事部

プロジェクト始動

一大プロジェクトの進行は、
一筋縄ではいかなかった

津嘉山
入社してから経験した中で一番大きな現場で、しかも現場担当のメインを担うことになった思い出深いプロジェクトです。入社3年目の私で大丈夫なのか、当初は不安もありました。
鈴木
津嘉山君は国道の橋梁工事で一皮剥けたと思っていたので、この現場は次のステップとして良い経験になるし、やり切ることができると思っていました。もともと精神的なタフさがある点も買っていたので、あまり心配はしていませんでしたね。
津嘉山
そう言ってもらえると嬉しいですが、実際は…。鈴木さんは書類など事務的な業務が忙しいので、「現場は私が!」という思いでやっていましたが、やはり何か行き詰まると、すぐに助けを求めてしまいました。小さな河川の現場は経験がありましたが、ここまで大きいとやはり勝手が違っていて。段取りの悪さで、現場作業員から怒られたこともあります。
鈴木
当時は入社3年目だったんだからミスは当たり前!当社の下請業者は協力的で、現場自体も和気あいあいとした雰囲気。いつも助けてもらっています。そんな彼らが怒るのは期待しているから。そこからいろいろなことに自分で気づいて、学んでいけばいいんですよ。
津嘉山
この現場では、「段取り」と「確認」の重要性を学びました。振り返ってみると、それまでの現場は行き当たりばったりで判断していたなと。ここまで規模の大きな現場では、それでは無理なんですよね。
鈴木
そうですね。でも、経験から学んだことは絶対に身に付くから、良い学びの機会だったと思いますよ。私もここまで大きな現場のトップを任されたことは初めてだったので、自分の業務にかまけてなかなか現場に出られず、津嘉山君に任せきりのことも多かったんですよね。私ができないアレコレを、代わりによくやってくれたと思っています。

プロジェクトの進行

ICTを導入し、複雑な工事を効率的に竣工。国から技術表彰も

鈴木
一番大変だったのは、盛り土の作業でした。普通は1日最大200㎥ぐらい盛るのが精一杯なのですが、今回は工期に遅れが出てしまったため、途中から1日400㎥に倍増!それでも皆がやり切ってくれたおかげで工期に間に合いました。
津嘉山
確かに今までだったら不可能な量でしたが、今回は新しくICT機器を活用したこともあって、何とかなったのではないかと思っています。
鈴木
ICTの導入は大きかったよね。ただ、実はICT機器を活用するのは当社では初めてで、苦労した部分もあるんです。そもそもICT機器を使うためには、現場の横断図、平面図、縦断図がすべて必要で、しかも元の図面と一致していないとエラーが出てしまう。ここを調整するのが大変でした。ただ、手間がかかりましたが、自分ですべての図面を修正したことで、いつも以上に全体像が把握でき、スムーズに指示が出せました。従来のやり方とは、スピード感が全然違ったと思います。
津嘉山
現場となった堤防の裏に住宅もあって、かなり入り組んだ複雑な形状だったことも、工事が大変な理由の一つでしたよね。鈴木さんは、そんな大変な作業をやりながらも、現場の進捗状況もちゃんと把握していて、いつも指示が的確でした。下請業者からも「鈴木さんのいうことは間違いない!」と絶対的な信頼があるんです。こういうところがすごいなあと思います。
鈴木
この現場では初めて自分がトップに立った現場だったこともあり、非常に気を張っていました。工事の品質が高い会社や技術者は国から表彰されるので、そこを狙っていたという背景もあります。最終的には、会社も私個人も技術表彰を受けることができました。大きな目標を達成できて、本当に嬉しかったですね。

プロジェクトの成果

国土交通省の仕事が、
今後の会社の根幹事業となる

鈴木
今後は私の後継者として、津嘉山君にぜひ国土交通省の仕事をメインにやってもらいたいと考えているんですよ。津嘉山君は、国土交通省発注の現場は、護岸だけでなく、橋梁も地盤も経験していて実績もありますからね。書類の作成も経験していますよね?
津嘉山
はい。この庄内川のプロジェクトの1年後ぐらいから図面の書き方も含めた書類の作り方を上司に教えてもらい、ある程度まで作れるようになったと思います。
鈴木
国土交通省の仕事に必要な書類は、経験しないと作れません。同じ公共事業でも、県とも市とも違うので、津嘉山君ができるようになったのは心強いです。
津嘉山
ただ、国土交通省の仕事は求められるクオリティも高いですし、難易度の高い工事でもできて当たり前という感じなので、プレッシャーもものすごく大きいです。常に気が張っているので、終わると達成感というよりも、安堵感の方が大きいですね。
鈴木
本当に、終わった時はホッとしますよね。確かに大変ですけど、やはり国土交通省の仕事は、今後も会社の柱となるもの。国交省の仕事が継続的に受注できているのは、入札の運もありますが、これまでの実績による得点で有利だからということもあります。
津嘉山
鈴木さんが獲得した得点で次の工事も入札できていますからね。私も点数が取れるような仕事をしたいと思うんですが、なかなかハードルが高いです。平均点は取れるんですけど、プラスの得点をもらうのは難しいんですよね。
鈴木
河川に関して言えば、プラス評価をもらって点数を取るためには、河川のことをどれだけ知っているかが重要です。役所の人が知らないことを知っていると、無駄な工事の指摘もできます。それで時には会社が損することもありますが、信頼度は格段に上がります。「損して得取れ」ですね。
津嘉山
なるほど!もっと勉強しないといけませんね。

山正建設の魅力

次世代を担う若手の育成と、活躍できる環境を作り上げていく

鈴木
数年後には当社も世代交代の時期を迎えます。現在の若手社員たちがこの会社の主力になっていく訳ですから、一人ひとりがより良い技術者になれるように、支援はおしまないつもりです。新入社員一人ひとりの適性を見て担当する現場を判断しますし、将来的にどのレベルを目指しているのかを聞いて、そのレベルに合った指導を行います。決して無理することなく、自分らしく働いてもらうことが一番ですから。
また、今後の会社の方針として、国土交通省の仕事を年に2本同時進行していくことを目指しています。そのためには大きな現場を任せられる人材の育成が必要不可欠。そのため、津嘉山君にも若手の指導を担ってもらいたいと考えています。
津嘉山
そうなると、まずは私自身が点数を取れるような技術者にならないといけませんね。
鈴木
いや、そんなに無理して背伸びをする必要もないですよ。十分ちゃんとやってくれていると思いますから。間違いなく、これから会社を牽引していく人材だと思っています。津嘉山君のように自分のペースを大事にしながら、一人で抱え込まずに皆を巻き込んでやっていくタイプの人が、この仕事は向いていると思いますね。
津嘉山
鈴木さんは今のままでいいと言ってくれますけど、会社の今後を担う世代として、これから入ってくる若手の人たちと一緒にがんばっていきたいと思います。